18.蜘蛛

 Tさんが二十代の頃、ある男性と親しくなった。彼の部屋に誘われて行くと、玄関ドアに蜘蛛が止まっていた。小さな蜘蛛だったので気にもとめず、2度目に行った時もいたが、特に何も考えなかった。3度目4度目に訪ねて行ってドアを見た時、蜘蛛がだんだん大きくなっている気がした。それでもまだ偶然と思おうとしたが、5度目にさらに大きくなった蜘蛛を見て、そのまま引き返した。急に怖くなり、これ以上の大きさになるのを見るのは、耐えられなかったからだ。
 すぐに彼とは別れ、あの蜘蛛が何だったかは分からない。

2018-12-31 20:19

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