
都内のタクシー運転手さんには有名な、幽霊トンネルがある。走行中に突然天井から人が降ってくるので、できれば通りたくなかったそうだ。慌てて急ブレーキを踏んで後続車に追突される事故も起きたし、探しても落ちたはずの人間は見当たらない。
そのトンネルの上の丘が、整備されて公園になった。造成中に古い人骨がゴロゴロ出て来た。骨を集めて別の場所で供養すると、人が降ってくることはなくなった。
2018-12-31 20:19

都内のタクシー運転手さんには有名な、幽霊トンネルがある。走行中に突然天井から人が降ってくるので、できれば通りたくなかったそうだ。慌てて急ブレーキを踏んで後続車に追突される事故も起きたし、探しても落ちたはずの人間は見当たらない。
そのトンネルの上の丘が、整備されて公園になった。造成中に古い人骨がゴロゴロ出て来た。骨を集めて別の場所で供養すると、人が降ってくることはなくなった。
2018-12-31 20:19

Tさんが二十代の頃、ある男性と親しくなった。彼の部屋に誘われて行くと、玄関ドアに蜘蛛が止まっていた。小さな蜘蛛だったので気にもとめず、2度目に行った時もいたが、特に何も考えなかった。3度目4度目に訪ねて行ってドアを見た時、蜘蛛がだんだん大きくなっている気がした。それでもまだ偶然と思おうとしたが、5度目にさらに大きくなった蜘蛛を見て、そのまま引き返した。急に怖くなり、これ以上の大きさになるのを見るのは、耐えられなかったからだ。
すぐに彼とは別れ、あの蜘蛛が何だったかは分からない。
2018-12-31 20:19

Dさんはしばらく前から、空を飛ぶ夢を度々見るようになった。飛ぶ夢は学生時代にもよく見ていたが、最近のものが決定的に違うのは、とにかくリアルなことだ。夜中に、今住んでいる6階の部屋のベッドから起き上がり、玄関を出て外廊下を進む。端まで来ると手すりに上り、そこから飛ぶのだった。空を飛んで行く時の風の気持ち良さまで、実際の出来事のように感じた。

ある晩遅くにDさんがマンションに戻ると、隣の部屋の女性がフラフラと歩いている。様子が変なので声をかけると、彼女はハッとして我に返った。自分が外廊下にいるのが信じられない様子で、ベッドで夢を見ていたはずだという。本当に歩いているとは思わなかったと言っていた。
Dさんと隣の女性は相次いで引っ越しを決めた。

このマンションは、飲食店やオフィスが並ぶ東西に400mほどの、都会のありふれた裏通りに建っている。しかし以前、通りの西端の高層マンションで飛び降り自殺があり、1年後にも転落死があった。2年後には東の端の方のビルで落下事故が起こり、次に西側の別のマンションで飛び降り自殺があった。さらに2軒先のビルでも飛び降り自殺があり、その隣がDさん達が引き払ったマンションだった。
それら全てが同じ通りの南側の建物だけで起こったのだ。
2018-08-13 21:00

Eさんは一度倒れて死にかけた。その時のことは覚えていない。怖かったのは退院してからだった。
マンションに戻ってドアを開け、中に入って閉じようとしたら、何かに引っかかった。確かに手応えはあったのに、何も見当たらないので、そのまま閉めた。部屋は妙に息苦しい。シャワーを浴びると、半透明の扉の向こうを、影がよぎったような気がした。夜も寝苦しくてたまらない。全ては自分の体調が戻っていないせいだと思った。

数日経って、会社の人間と会う約束をした。先にカフェに着いて、窓際の席に座ると、店員には待ち合わせだと告げていないのに、水を二つ置いて行った。さらに同僚が、到着するなり「さっきの人は?」と聞いてきた。最初から自分一人なのに、外から見た時、横にもう一人居たと言って譲らない。お互い釈然としないままだった。

同じようなことがそれからも続いた。ビルのエレベーターで乗り合わせた人が、自分が降りた後も開ボタンを押し続けている。タクシーを降りようとすると、運転手が振り返って「あれっ! もう一人の方は?」と驚いている。気味が悪かった。
部屋の中では、物の置き場所がずれているような気がする。歩くと足音が少し遅れて響く。何かがおかしいとしか思えなかった。
そして会社に復帰した日の午後、トイレに行って鏡の前に立った瞬間に、ついにその男を見たのだった。
Eさんはまた倒れ、気がついた時には病院にいた。

今でもあの時見たもの、斜め後ろに寄り添うように、自分に瓜二つの男が立っていたのを、はっきりと思い出せるという。
2018-08-12 16:00

Cさんの通勤途中の交差点の手前に、古くて何に使われていたのか不明な建物がある。スマホで調べ物をしようとして、たまたまその前で立ち止まった時に、声がするのに気付いた。すぐ後ろで二人の男が喋っていると思っていて、いつまでも追い越して行かないので振り向くと、辺りには誰も見えなかった。しばらくたったある日、先の信号が赤になってしまったので歩みを緩めたら、また同じ所で一瞬声が聞こえた。少し戻って耳をすますと、やはり誰も居ないのに、二人の男の会話が聞こえる。「次はあいつかな」とか「青いブラウスが先だろう」などと小さな声で言っていた。信号待ちをしている人の中に、青いブラウスの年配の女性がいて、いつも通勤で見かける顔だった。気になったが、考えても何も分からない。しかし次の日から、その女性を見かけなくなってしまった。

それからCさんは、その場所に来ると立ち止まって、聞き耳をたてるようになった。全く聞こえない日もあり、「リュックを背負ったやつ」とか「ジョギングの男がいい」とか、話しているのが分かる日もあった。そしてその翌日、近所でジョギングをしていた男性が、亡くなったと知り、あれは聞いてはいけない声なのだと思った。

Cさんは通勤のルートを変えた。もしも自分のことを囁かれたらと想像すると、怖くてたまらなくなったのだ。
2018-08-11 02:00