Log No. 0004アトコレイノス(Atokoreinos)
座標:ATK-01A
干上がった大河。崩れた鉄橋が掛かっている。川底に散らばる破片。幅1キロほどの河川部中央にコンクリート製の細長い構造物。壊れた階段付近の屋内構造。人影を確認。
『何をしていた?』
「いらっしゃいませ。切符売り場はこちらですよ」「船ですか?汽車ですか?」
『それは何?』
「ここは船と汽車が両方発着する唯一の駅なんです」「コラビオクレト行きは一時間、ラングディタルー行きは30分で到着予定です」
『それはなぜ?』
「おーい。今のところ遅れはないよなー。センターと連絡は取れたのかー?」
屋内別室に人影。無線交信を試みている。際立った異常値は観測されない。
座標:ATK=0!B
整備された河川敷。夕暮れ。芝生広場。周辺に移動する人多数。河川敷に沿って道路。道路上横断歩道に立ち止まる数人。
『何をしていた?』
「映画を見てたんだよ」「広場の屋外スクリーンがここからよく見えるんだ」「いつも同じ映画やってるよな?」「通りがかりにちょっと見るだけじゃ、同じかどうか分からないわ」「この後バトルになるんだよな」「ラブストーリーじゃないの?」「ホラーだろ?」
河川敷の先丘陵地帯。住宅地が続く。映画音音声低く反響。際立った異常値は観測されない。
座標:ATK-02
なだらかな丘陵麓から中央にかけ同じ規模の住宅が並ぶ。一軒の家のリビング。タイプライター形状の機械の前に立つ青年。
『何をしていた?』
「小説を書いてもらってたんです」「この装置にプロンプトを入力するだけで出てくるんですよ」「僕の読みたい話がいくらでも作れるんですよ」「すごいと思いませんか」
隣家から爆音。青年、窓際へ移動。隣家へ発話。
「うるせえ!!」隣家から反応なし。
隣家のリビング。数人の男女。音楽に合わせて体を動かす。
『何をしていた?』
「曲作ってんだよ」「このステレオがカッケーの出すんだよ」「ここにジャンルとリズムとあとなんだっけ?」「とにかくこれでイケてる曲だけ聴いてられんし」「テンション上がるよね」「やだあれ見て。隣の女が写真撮ってる」「俺たち撮って通報する気か?」
前庭の向こう次家屋の庭に女。カメラを構えている。
『何をしていた?』
「このカメラで好きな人の写真が撮れるの」「どんな景色の中にでも出せるの」「うちのバスタブでくつろいでるところでも、観光地に行った写真でもなんでも作れるの」「素敵でしょ⋯あら。この角度だとあの人達邪魔ね」
次家屋の玄関。男性2人と子供。会話中。
『何をしていた?』
「今なら大変お得なんですよ」「それでも予算が」「買ってくれるって言ったじゃない」
『何をしていた?』
「コンパクトタイプでしたらさらにお安いですし、性能的にフィギュアの細部に差はありません。むしろチビキャラが出せると人気でして」「ママのお気に入りのゆるゆるウサギもあるんだよ」「はい。ゆるゆるウサギとはライセンス契約がありますので作れます。他にも⋯」
応答信号確認不可。異常値は観測されない。
座標:ATK-03-A
広く整備された街区。文化施設が並ぶ。古いレンガ構造図書館。書庫の中をカートを押しながら歩く中年女。カートに積まれた数十冊の本。
『何をしていた?』
「本を棚に戻すのよ」「きちんとルール通りに仕分けしてね」「例えばこれは⋯」「いお⋯えお⋯?え⋯?」「何これ⋯」
女、上に積まれた3冊の本を確認。「Eofn」「Eqlmetgqlrt」「Iitrtqfofubptrtyt」と書かれてあるのを視認。
「こんな本知らないわ」「何語なのよ」「棚のラベルも変だわ」「何もかもめちゃくちゃよ」「さっきまでこんなじゃなかったわ」
女、本を次々手に取り確認。書棚の通路を何度も往復。館内靴音のみ。際立った異常値は観測されない。
座標:ATK-03-B
図書館隣接レストラン。入っていく初老の男。
『何をしていた?』
「打ち合わせが長引いたんだよ。悪いけど社員達を待たせてるからね」
男、レストラン奥に進む。大きなテーブルを囲んで、それぞれメニューを読んでいる男女7人。
「遅くなってすまん」「料理はまだかな」「それが⋯」「先に頼んどけって言っただろ」「でもメニューが」「なんでもいいんだよ。俺はすぐ次の顧客に会わなきゃならない」「すみません。でもこれ⋯」別の男、壁際に立つ店員に発話「ゲラドバのムニエル8人分」制止する女。「ゲラドバはいや。なんか絶対いや」「ミラネタトの串焼きにしましょう」「串焼きもなんか⋯」「なんでもいいから早く決めろよ!」
別のテーブル。運ばれた料理をじっと眺めるだけの人々。際立った異常値は観測されない。
座標:ATK-04-A
市街地中心部。高層ビル。巨大ガラス構造エレベーター内部。ボタンパネルを見る男女4人。沈黙。
『何をしていた?』
「30階建てなのに0と1しかない」「どういうこと?」「⋯2進法かもしれない」「だったら僕は7階だから⋯えー⋯111だ」「14階は?」「えーと⋯1100か」「19階は?19階を教えてくれ」「それは100⋯?」「27階は?」「27階に行かなきゃなのよ!」
数字ボタンを連打する男。エレベーター上昇。異常値は観測されない。
座標:ATK-04-B
同ビル2階市役所。フロアに夥しい数の人間。ブース内職員10名。フロア案内職員1名。
『何をしていた?』
「順番にお聞きしますから、整理券を取ってお待ちください」「あ、整理券がなくなってる。補充しないと」「今日はなんだってこんなに人が来るんだ」
ブース1で個別対応中の職員と女。
「なんとおっしゃいました?」「ぱばすずぽぼーとどこごううしじんんをを⋯」
ブース2で個別対応中の職員と男。
「ですから書類に記入していただかないと」「くらょえいくにすないか」
ブース内職員会話「通訳まだ来ないの」「喋れない人ばっかりなのよ」「みんなラングディタルー人かよ」「ラングディタルーで何かあったの?」
フロアさらに人が増加。異常値は観測されない。