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第13景

「平原・回収車1319号」

 2機の人工衛星の墜落時間が予測される中、すべての回収車は作業を中断して格納庫に戻るよう指示された。タネを集めても、もう打ち上げができないので、回収する意味がないのだ。
 しかし1台だけ、格納庫に戻る車列とは反対方向に走っていく車があった。1319号だった。
 今日もいくつもの流れ星が落下している。
 1319号はそのひとつの落下軌道を目指していた。「ワタシはタネを集めます」
 執事は1319号の修理は不可能と判断して、放置していた。修理不能な原因は、部品の不足だけではない。
 この星に戻って来たタネは、できるだけ速やかに回収されて培養室に運ばれる。そこで意識が覚醒すれば、燃え尽きたカケラから、生体エネルギーで満たした新しいタネに移植できる。だがまれに移植を待たずに、この星の動植物に取り憑いてしまう意識があった。転生を拒む者達だ。
 動植物のほとんどが絶滅し、ロボットだけの世界になると、ロボットに取り憑こうとする者も現れた。ロボットでも電磁エネルギーが環流している間は、取り憑いていられる。もしも電池切れを起こしたり、シャットダウンされると、取り憑いた意識は霧散する。消滅は免れたとしても、取り憑いているうちに、取り憑いた者の自己認識レベルにまで堕ちてしまう。
 それが判っていてもなお、ロボットになった者が居た。“彼”のように。

 1319号はひとつのタネの落下地点まで来ると、その周りを回り始めた。
「ワタシはタネを集めます」
 彼はいつまでも、誰も居なくなった平原で、旋回を続けていた。