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第12景

「管制室」

「あのタネはあなたの探している人でした」「しかし長い時間平原に放置され凍ったせいで、意識が深く潜ってしまい目を覚ましません」執事が少女に伝えた。
「目を覚まさないと、向こうに行けないの?」「意識が希薄だと、たどり着く前に、途中の宇宙空間に拡散してしまいます」「起こす方法は無いの?」「培養室に移して、生体エネルギーを注入しています。充分な量のエネルギー補給が行えれば覚醒するでしょう。今回は培養する時間が足りません」
 少女はあの子と一緒に行けるのでなければ意味がないと言い。自殺したのも無駄だったと言った。執事は、生体エネルギー補給は、少しずつしか行えず、この星のエネルギー残量も、わずかであると説明した。
「この星が死に絶える前に、私はできるだけ多くの意識を、向こうに送り出したいのです。それが私に与えられた使命ですし、私の創造主の願いでもありました」「ですから⋯」と執事は言った。
「あなたはひとりで行ってください」「このタネは間に合わないので、貴重なエネルギーは、他のタネに使いたいです」
 少女はショックを受けていた。黙って二人のやりとりを聞いていた男が、執事に質問した。
「ひとつだけ方法があるんじゃないか? 俺は聞いたことがあるぜ」
「あなたの聞いた方法は、私から提示してはいけない決まりです」「私達すべてのロボットは、生命を尊重するように規定されているのです」
「どんな方法か教えて。あたしなんでも⋯」「君じゃないよ。やるとしたら俺だ」少女をさえぎって男が言った。
「俺がやると言えばできるんだろ?」
 執事は「あなたならできるでしょう」と答えた。