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第10景

「会話・男と少女」

 夢想宮の前で“男の意識”は、セラピーを終えて出て来た“少女の意識”と、接触した。
「おじさん管制室ってどこか知ってる?」「知ってるよ」「あたしを連れてってよ」
 少女は男に案内してもらう間に、次々質問した。
「おじさんはここにいつから居るの? 」「かなり前からだよ。ここは向こうとは時間のスピードが違ってて、どのくらい経ったのかは分からないな」
「なんで打ち上げてもらわないの?」「もう行きたくないんだよ」
「何回も行ったの?」「多分な。行くたびリセットされるから覚えてないけどな」
「あたしはリセットされたくないよ」「リセットされても自分は自分なんだよ。似たような性格で、似たようなものが好きで、自分はたいして変わらない。だから俺は何回行ってもおんなじだ」
「自分が変わらないなら、あたしはまたあの子と友達になれるよね」
「好きな子がいるのかい? 」「あの子を見つけていっしょに生まれ変わるの」会いたい人がいるのは良いなと、男は思った。
 男には、二度と会いたくない奴しか、思い浮かばなかった。

「こっちの世界には、なんで生きてる人間が居ないの?」「執事によると、太古の昔には大勢居たらしいよ」
「どこに行ったの?」「住む場所を探して、みんなどこかに出て行ったんだ」「ここに住めなくなったの?」「大崩壊って呼ばれる惨事があったんだと」「大崩壊ってなに?」「何だろうな。崩壊は何度もあって、古い歴史の記録は失われたそうだ。執事はずっと後の時代に作られたロボットだから、詳しいデータを持ってないんだよ」 
「もしかして隕石の衝突とかかな。あたし本で読んだよ」少女はそう推測したが、男は別の可能性を考えていた。
「戦争じゃないのか」「戦争で自分たちの星を住めなくしちゃったの? 」
「人間はみんな愚かなんだよ」

 俺は実際に戦場に居たんだ。
 男は思い出していた。