「会話・男と女再び」
夢想宮の前で“男の意識”は、2度目のセラピーを終えて出て来た“女の意識”と、接触した。
「今度はどうだった?」「同じ話をしたけど、前より落ち着いて話せたわ」「思い出した部分や忘れた部分もあった」「AIはあんたの意識を操作してるんじゃないのか?」「違うと思う」
「私自身が思い出したかったり忘れたりしたいんだと思う」「なんの為に?」
「もう一度生きる意欲を取り戻す為に」
「何度行っても、また別の苦労が待ってるだけだぜ」
「知ってる。執事から説明されたわ」「私達は弱っている生命体にしか取り憑けないんだって」「だから何度試しても上手くいかないんだ」と男は言った。
「上手くいくかどうかじゃなくて⋯」「たとえ上手くいかないとしても⋯」女はしばらく考えていた。
「もう一度世界を見てみたいのよ」
「そこが見る価値のない世界でも?」
「価値があるのかないのか、そこがどんな世界なのか、私には分からない」「だからこそもう一度別の世界を見てみたい」「なんの意味もないような人生でも、価値のない人間でも、生きていれば世界を感じられる」
「きっと世界は美しいわ」
2025-0426 22:58
