29.墓参

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 祖父の新盆にRさんが本家に到着したのは夕方だった。親族はすでに墓参を済ませ、慌ただしく宴席の用意をしていた。Rさんは手伝わなくていいと言われ、手持ち無沙汰だったので、線香を手向けに墓まで行ってみることにした。
 田舎の墓地はとても広い。いつもは大勢で行くので、誰かと一緒に歩いていれば良かった。ひとりだと大体の見当はついていても、久しぶりのせいかたどり着けない。
 すでに日が傾き始めた薄暮の中、たくさんの線香の煙で霞がかかり、余計場所が分かりにくくなっていた。まだあちらこちらに人が歩いていたし、そこら中に灯明もあったので、怖くはないが迷ってしまった。

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 どうしようかと思った時、後ろから「〇〇」と自分を呼ぶ声がして、振り向くと急に視界がクリアになった。さっきまであんなにたなびいていた煙が消え、灯明も無くなっていた。歩いていた人達も誰もいない。
 声が聞こえた方に祖父の墓があったのだった。

2019-08-13 16:00

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